【英・SOASロンドン大学の留学体験談】多様性あふれるキャンパスで、国際開発を学ぶ
ロンドン大学の一校であるSOAS(School of Oriental and African Studies)は、アジア・アフリカ・中東地域に特化した研究と教育で知られ、世界的にもユニークな存在感を放つ大学です。人種・文化の多様性が交差するロンドンの中心に位置し、国際開発や地域研究、政治経済分野において高い評価を受けています。 今回は、そんなSOASで国際開発と政治を専攻しているAkiraさん(2022〜2025年在学)にインタビューを行いました。関西の大学からの交換留学をきっかけに正規進学を決意したAkiraさんに、出願プロセスや授業の雰囲気、多様性豊かなキャンパスでのリアルな学生生活について語っていただきました。
- 2025/11/29
- 2025/11/29

Akiraさん
School of Oriental and African Studies, University of London
専攻: 国際開発、政治
- #2022年入学
- #正規生
- #文系
- #イギリス
- #国際開発
- #BA Global Development
- #Politics
SOAS入学前のAkiraさんの経歴について教えてください。
小学校から中学校まで近所の公立学校に通学し、高校は名古屋の私立大学の附属に進学するも、附属大学の勉強内容への疑問と違う都市に住んでみたいという思いから大学は関西の私立大学へ進学しました。
その大学からの交換派遣留学にて1年間現在の大学で勉強し、その際に勉強内容の面白さから進学を決めました。
AkiraさんはなぜSOASを選ばれたのですか?
進学を決めた2023年時点、学問別世界ランキングにおいて1位を記録し、他の大学にはない特徴的な学部があったことと、交換留学にて滞在経験があったことから実際の大学生活が想像しやすかったことが大きな理由です。
SOASに出願した上での、具体的なプロセスについて教えてください。
IELTSの受験とUCASを通じてのpersonal statement & 高校、大学の成績表 & 推薦状(referring letter)を2枚準備(推薦票は現大学の教授と前大学の教授から各1枚づつ)交換留学にてあらかじめ滞在していた実績があったため、foundation courseは免除され1年生から開始しました。
SOASの校風について教えてください。
非常に国際的で多様性に富んでいてリベラルな雰囲気があります。世界中から集まった学生たちが在籍しており、特にアジア、アフリカ、中東地域の研究に強い関心を持つ生徒が多いため、キャンパス内では多様なバックグラウンドを持つ人々と出会い、異文化について深く学ぶことができます。
実際にSOASに行ってみて良かったと感じる点を教えてください。
提供される授業の質と勉強内容の濃さについてですが、日本の大学と比較した際、生徒一人ひとりがより勉学に励み、勉強内容について自信を持って話せる点が良いと感じました。特に授業において自分の意見を述べる必要がある「セミナー」という授業形式があるため、アウトプットを通じてその分野における理解が深まるだけでなく、日本人が苦手とされる「思考し、自分の意見を述べる力」を伸ばすことができると感じています。
また、通常のイギリスの大学と比べて5倍以上も多くのインターナショナル・スチューデントが在籍していることからもわかるように、国際色豊かな大学です。さまざまな背景を持つクラスメイトと交流することで、多様な視点を持った国際的な議論ができ、知見を広げるとともに、社会課題の解決についても高い視座を通じて学ぶことができます。
逆に、悪かった点、もっとこうだったらよかったと思う点はありますか?
国際色豊かで多様性にあふれている反面、学内で典型的なイギリス人の学生と交流する機会は少ないです。ホームスチューデントは一定数いますが、過去に国外に住んでいた経験がある学生や、特定の地域研究に興味がある個性的な生徒が多いため、特異的な環境の大学となっています。
また、地域研究や開発学では高い評価を受けていますが、一般的な経営学や心理学などの学問がなく、政治学や経済学も国外に焦点を当てた勉強が中心です。さらに、ストライキや抗議活動が頻繁に行われるため、授業の予定に影響が出ることが多々あります。授業の延期や取り消し、学内の占拠などが生じることもあります。
授業の雰囲気はいかがですか?
Lecture:一般的な大学の講義と同様に広いセミナールームなどにて受講
基本的に教授が一方的に話しており、板書やPPTなどをパソコンなどでその講義内容をまとめている。生徒は一般的に静かに集中して授業を聞いており講義中の私語、交流は滅多にない。
Tutorial:Lecutureで学んだ内容を参考資料の読み込みなどを通して生徒同士でdiscussionをする。主に生徒は30人程度で生徒同士での意見交換やディベート、発表などがある。チュートリアルの雰囲気は学部やチューターによって大きく異なり、チューターが主体的に話して進められていくものもあれば、個人で疑問点やその質問を膨らませ、ディスカッションしていくこともある。
キャンパスや大学の施設の雰囲気はいかがですか?
大学の規模が小さいため、比較的友人やクラスメイトと顔を合わせやすい。施設は近年リフォームされ、綺麗になっている。購買や図書館など基本的な施設はあり、勉強したり、交流したりすることもできる。しかし、大学の規模感から他のロンドン大学に比べて、コミュニティや施設は小さく、限られている。
授業外での生活環境はいかがですか?
ロンドンではほとんどの美術館が無料で入館でき、中華街や公園などお金をかけずに遊べるところが多くあり、よくそれらの場所に友人と出かけたり、pubやcafeなどを回ったりしていまし た。また、他のヨーロッパの国が近いことから土日や祝日などを利用して旅行に出かけたり、ミュー ジカルなどを鑑賞したりしました。
Akiraさんが大学で行っている課外活動はありますか?
インターン
- 1年次 ケニアの貧困問題解決を目的とするスタートアップ企業にて2ヶ月間インターン
- 2年次 コスタリカの動物保護を目的とするNGOにて2週間のプロジェクトに参加
サークル活動
- 2年次 Japan SocietyにてCareer serviceとVice Presidentを兼任。イベントの運営や海外大生と日系企業の橋渡しを担当 を行いました。
在学中に、印象に残ってるイベントがあれば教えてください。
WTOやUNの職員による貧困や環境問題の解決への取り組み事例に関する講演会
この講演会では、世界貿易機関(WTO)や国連(UN)の職員が登壇し、国際社会が直面している貧困や環境問題についての解決策や、それに向けた取り組みの実例が紹介されました。特に、持続可能な開発目標(SDGs)を実現するために各国が協力し、どのような施策を導入しているか、貧困削減や環境保護において経済政策がどのように役立っているかについての具体的な事例が話されました。
難民や紛争問題についての討論会
この討論会では、難民問題や紛争の解決について深く議論が行われました。外務省職員、各国の研究者、さらに多国籍の学生が参加し、現在の国際情勢や政策の効果について意見を述べ合う場となりました。討論の中では、各国の政策の違いや、難民を受け入れる国の負担と責任、国際法や人権に基づく支援の在り方についても議論され、実際の国際社会でどのように紛争解決や難民支援が進められているのかが多角的に分析されました。異なる視点を持つ参加者同士の議論は非常に活発で、国際関係の現場で働く人々からも実務的な意見が寄せられ、貴重な知識と洞察を得ることができました。
大学教員を中心としたプロテストやストライキ活動
大学内では、教員を中心に数多くのプロテストやストライキ活動が行われています。これらの活動は、教育制度の改善、労働条件の向上、そして政治的・社会的問題への抗議など、さまざまな目的で行われています。特に、教育予算の削減や教員の待遇改善を求める声が強く、これらの活動はしばしば授業や大学の運営にも大きな影響を与えます。授業の延期やキャンセル、さらには学内の占拠といった事態に発展することもあり、学生にとっても非常に身近な問題となっています。
NGOやNPOでの職場体験を通じたプレイスメントモジュール
このプレイスメントモジュールでは、学生が実際にNGOやNPOの現場で職場体験を行う機会が提供されます。学生は貧困削減、環境保護、難民支援といったテーマに取り組む団体で働き、実務的なスキルを身に着けるだけでなく、国際的な問題の現場での課題と解決策について深い理解を得ることができます。
入学前、準備しておいてよかったこと、または準備しておくべきだったことはありますか?
大学のセミナーでは、自分の意見を述べ、議論を行うため、発信力や自分の主張をしっかりと伝える力を準備しておくことが求められると思いました。また、日本について、漫画や観光面に限らず、文化や歴史に関することを尋ねられる機会も多いため、日本に関する知識を持っておくことも大切だと感じました。
さらに、自分の専攻である政治学においては、エッセイを中心とした評価が多いため、論理的に文章を構成する力を身につけることが、勉学において非常に役立つと感じました。
大学での日本人コミュニティについて教えてください。
JAPAN Societyがあり、主にそこで日本人の学生と交流する。ただ規模が小さく、大学の特性上、正規性は毎年多くて2、3人程度。その反面、交換留学生や院生の日本人学生が多い。とはいえ、正規生と交換留学生の交流はあまりなく、日本人コミュニティは大学内にはほぼ存在していない。
最後に、これから留学を志す中高生の皆さんにメッセージ・アドバイスをお願いします!
大学での勉強に限らず、異国で長期間生活することはたくさんの不安があると思います。
実際に上手くいかないことや、もどかしいことも生活の中で多々あると思いますが、留学という選択肢は様々な体験を通じて生活力をはじめ、コミュニケーション能力や対応力などの様々な成長 に繋がります。また、最近では困ったことがあってもネットを活用すれば解決策をすぐに見つけることができると思います。国や地域によって経験の違いはあるものの、留学という体験はどんな側面においても必ず個人にとって糧になると思うので、やるべきことをしっかりこなし、楽しんでください!


