- 2026/7/13
- 2026/7/16
北京モーターショーで見た自動車市場の未来


この記事を書いたライター
Tomoki
大阪・堺生まれ。中国・北京大学に進学し哲学部に在籍中。大学では国際部や留学生事務所で学生アシスタントを務めるほか、北京市内で日本人留学生支援や日中交流活動に携わる。また、日中韓を中心とした東アジアに対する日本人の理解促進のため活動中!留学経験と現地で築いたネットワークを活かし、海外大学進学や中国留学のリアルを発信したいと思い参画。
こんにちは、中国の北京大学に通うTomokiです!今回は、世界最大級の自動車展示会「北京モーターショー」を訪れました。会場で目の当たりにした中国メーカーの勢いや、EV・自動運転技術の進化、日系・欧米メーカーの最新動向を、現地で撮影した写真とともにご紹介します。
早速ですが、みなさんは「モーターショー」に行ったことはありますか?日本だと「東京モーターショー」などが有名で、広告などで聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれませんが、「名前は知っているけど、実際に何をするイベントなの?」という方も多いのではないでしょうか。

モーターショーとは、世界各国の自動車メーカーが集まり、新しい車や最新技術を展示する大規模なイベントです。発売されたばかりの新型車はもちろん、まだ街では走っていないコンセプトカー、電気自動車(EV)、自動運転や自動運転などのAIを活用した最新技術、自動車関連部品や「空飛ぶ車」など、これからの自動車産業を感じられる展示が一堂に集まります。
そして中国には、世界中から多くの自動車メーカーが集まる世界最大規模のモーターショーがあります。それが「北京モーターショー(北京国際汽車展覧会/Auto China)」です。そして今年、幸運なことに日系メーカー様にご招待をいただき、僕も実際に北京モーターショーへ行ってきました!そこでは、中国メーカーの圧倒的な勢い、日本メーカーの存在感の変化、そして欧米メーカーまで含めた急速なEV化など、世界の自動車産業が大きく変わっていることを感じました。
今回は現地に実際に足を運んでみて感じたことを中心に、現場の写真とともに現地で感じた中国の自動車産業やEVの勢いについてご紹介します!
世界最大級!北京モーターショーとは?
北京モーターショーは、2年に一度、北京で開催される大規模な国際自動車展示会です。中国メーカーだけでなく、日本、ドイツ、アメリカをはじめ、世界各国の自動車メーカーや関連企業が集まり、新型車や最新技術を発表します。
今回の北京モーターショーは4月24日から5月3日まで開催され、展示面積は約38万平方メートル。17の展示館に1400台を超える車が集まり、そのうち180台前後が世界初公開モデルという非常に大規模なイベントでした。中国メーカー、日本メーカー、欧米メーカーなどの巨大なブースがずらりと並び、一つの展示館を見終わっても、まだ別の館がいくつも続きます。(あまりに広くて1日では見終えられなかったので2日にかけて行きました!)

まず圧倒された、中国メーカーの存在感!?
会場を歩き始めて、まず驚いたのが中国メーカーの存在感です。
まずは、中国の電気自動車業界の代表ともいえる「BYD(比亜迪)」。日本でも最近はBYDの販売台数が増えていますが、実は僕の地元である大阪・堺には、日本で2店舗目となる正規ディーラーがオープンしているのです。ちなみにBYDは「Build Your Dreams」の略、ちょっとおしゃれですよね?1995年に中国・深圳で創業し、もともとはバッテリーメーカーとしてスタートした企業です。
そして今回の北京モーターショーで特に驚いたのが、その展示規模。なんとBYDは、17ある展示館のうち一つを丸ごと貸切って「BYD」館としていました。

しかも、館内にはBYDシリーズ本体に加えて、DENZA(騰勢)、YANGWANG(仰望)、FANGCHENGBAO(方程豹)など、同じグループ内の複数のブランドがあり、一般向けの乗用車から大型SUV、高級車、スポーツカーまで、かなり幅広い車が展示されていました。

「BYD館」では歩いても歩いてもBYDグループの展示が続く。その規模感は、今回のモーターショーの中でも特に印象に残りました。
そしてもちろん、存在感があったのはBYDだけではありません。会場にはNIO、XPeng、Li Auto、Geely、Zeekrなど多くの中国ブランドが並び、中国を代表する高級車ブランド「紅旗(Hongqi)」も大規模な展示を行っていました。

面白いのは、これらのブランドの歴史です。紅旗は1958年に最初の車が誕生した、中国を代表する歴史あるブランドです。 一方で、BYDは1995年創業、NIOとXPengはともに2014年、Li Autoは2015年に設立され、Zeekrに至っては2021年に誕生したブランドです。つまり、今回の会場で大きな存在感を放っていたブランドの中には、まだ誕生から10年前後しか経っていない企業も少なくありません。
そして実は、中国のEVの勢いは北京モーターショーの会場内だけの話ではありません。国際エネルギー機関(IEA)によると、2025年には中国だけで1300万台を超えるEVが販売されました。世界で販売されたEVのうち、およそ10台に6台が中国で売れた計算になります。また、中国国内で2025年に販売された新車の約55%がEVでした。生産規模も非常に大きく、2025年に世界で生産されたEV約2200万台のうち、約4分の3が中国で生産されています。中国が今、世界のEV産業の中心の一つになっていることを強く実感しました。
日系メーカーは?会場で感じた中国市場の厳しさ
今回の北京モーターショーには、トヨタ、ホンダ、日産、マツダなど、多くの日系メーカーも参加していました。一方で、スバルなど今年は参加していないメーカーもあり、会場全体を見ていると、日系メーカーの存在感が以前より縮小しているようにも感じました。

各社のブースを見ていて特に印象に残ったのは、日本メーカーも中国市場向けのEVやスマートカーを強く打ち出していたことです。例えばトヨタでは、広汽トヨタが中国市場向けに展開する大型EVセダン「铂智7(bZ7)」が展示されていました。会場で実際にbZ7のデザイナーの方にお話を伺うと、「中国では目標販売台数を達成することがとても大変だ」とおっしゃっていました。中国では新しいブランドや新型車が次々と登場し、価格、航続距離、充電性能、AI、運転支援、車内エンターテインメントなど、あらゆる面で激しい競争が続いています。そうした市場では、世界的に有名なトヨタであっても、決して簡単に売れるわけではありません。実際にbZ7を目の前にしながらその話を聞くと、日本メーカーが中国市場でどれほど厳しい競争に直面しているのかを、よりリアルに感じました。

多くの日本人にとって、トヨタをはじめとする自動車産業は、日本を代表する産業の一つだと感じておられると思います。しかし今回、北京モーターショーで中国メーカーと日本メーカーの展示を同じ会場で見比べると、中国メーカーの追い上げの激しさ、そして日本メーカーが決して優位とは言えない状況にあることが伝わってきました。

もちろん、一度のモーターショーだけで自動車産業全体を判断することはできません。それでも、日本を代表する産業の一つである自動車産業が、今まさに中国企業から激しい追い上げを受けている。その現実を目の前で感じ、少し複雑な気持ちになりました。

自動運転技術もすごい!
今回、会場では中国の自動運転システム開発会社が展示する車にも試乗させてもらいました。特に驚いたのが、カメラやセンサーの感度です。周囲の車や歩行者、道路状況を細かく認識し、その情報が画面上にもすぐに反映されていました。

担当者によると、技術水準は米・テスラにも匹敵するとのこと。中国では、Level 4の自動運転技術を用いた公道実証実験が各地で進められており、地図開発企業などとも連携しながら技術開発が進んでいます。実際に試乗してみると、周囲の車両や歩行者、道路状況を瞬時に認識する精度の高さに驚かされ、その成果を肌で感じることができました。中国企業が自動運転やAIの分野でも急速に技術力を高めていることを実感しました。

欧米メーカーも苦戦中?EVになると車が似てくる⁉
今回の会場では、BMW、Mercedes-Benz、Audi、Volkswagenなど、欧米メーカーも数多く出展していました。ただ、欧米メーカーも中国市場の急速なEV化への対応を迫られており、展示されている新型車もほぼEVでした。

ここで、もう一つ気になったのが車のデザインです。流線型のボディ、細いライト、大きなディスプレイを備えた車内など、ロゴを隠されたらどこの国のメーカーか分からないような車も少なくありません。その背景には、中国メーカーがこぞって欧米メーカーで長年経験を積んだデザイナーを起用している点があります。
EVでは空気抵抗や航続距離も重視されるため、車の形が似ていく部分もあるのかもしれません。そんな中でも、やはり圧倒的に美しいと感じたのがMercedes-Maybachです。EV化やスマート化が進んでも、一目で分かる存在感と高級感。個人的には、今回のモーターショーで特に印象に残った車の一つでした。

まとめ
今回の北京モーターショーでは、中国メーカーの勢い、日系・欧米メーカーのEV化、自動運転技術の進歩など、世界の自動車産業が大きく変化していることを実感しました。
特に、中国企業の急成長と、日本メーカーが厳しい競争に直面している現状は印象的でした。ニュースで見るだけでは分からない変化を、実際に見て、現場の方から話を聞けることも、留学中に現地で生活する面白さの一つだと思います。ぜひ世界中で留学中の皆さんもお近くのモーターショーへ足を運んでみてください!
【1】IEA「Global EV Outlook 2026」中国におけるEV販売台数、世界販売に占める割合、中国国内の新車販売に占めるEV比率 https://www.iea.org/reports/global-ev-outlook-2026/trends-in-electric-cars
【2】IEA「Global EV Outlook 2026」2025年の世界および中国におけるEV生産台数・生産比率 https://www.iea.org/reports/global-ev-outlook-2026/manufacturing-and-trade
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