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留学生活のノウハウ
2026/8/15
2026/8/20

【「スーパー・エルニーニョ」警戒強まる】 世界の食料価格に再上昇リスク

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Ryodai

この記事を書いたライター

Ryodai

カナダのブリティッシュコロンビア大学に通い、心理学、認知システム、ビジネスなどを幅広く学ぶ。日本でずっと生まれ育ち、大学はICUに通うが、わずか4か月で退学し初の海外留学を経験する。海外大学生の目線から役に立つ情報を発信します!

こんにちは。現役海外大生のRyodaiです。

最近、ニュースで「エルニーニョ」という言葉を目にする機会が増えてきました。

エルニーニョと聞くと、

「今年は暑くなるらしい」

「異常気象が増えるのかな」

といった気候のニュースをイメージする方が多いかもしれません。

しかし、今回のエルニーニョは、天気だけの問題ではありません。

2026年に入ってから世界的にエルニーニョが強まり、アメリカ海洋大気庁(NOAA)は、今後「非常に強い」エルニーニョになる可能性が高いと予測しています。8月時点では、その確率は81%とされています。

こうした非常に強いエルニーニョは、報道などでは「スーパー・エルニーニョ」と呼ばれることもあります。

そして今、世界で警戒されているのが、エルニーニョによる農作物への影響と、食料価格の上昇です。

実際、国連食糧農業機関(FAO)が発表している世界の食料価格指数は、2026年7月に131.1ポイントとなり、前月から0.6%上昇しました。穀物や砂糖、植物油などの価格が上昇しています。

一見すると「海外の気候や農業のニュース」に見えますが、スーパーで食材を買ったり、大学のMeal Planを利用したり、外食をしたりする海外大学生にとっても、決して遠い話ではありません。

今回は、そもそもエルニーニョとは何なのか、なぜ食料価格に影響するのか、そして海外で生活する学生の食費にはどのような影響が考えられるのかを解説します。

「スーパー・エルニーニョ」への警戒が強まる

エルニーニョは2026年6月に発生が確認され、その後も徐々に強まっています。

NOAAは、年末にかけてさらに勢力を強め、2027年初めまで続く可能性が高いとしており、8月時点では「非常に強い」エルニーニョになる確率を81%と予測しています。

過去にも、強いエルニーニョが発生した年には、世界各地で干ばつや大雨、高温などの極端な天候が見られてきました。今回もすでに、アジアや中南米をはじめとした主要な農業地域で、今後の天候への警戒が強まっています。

例えば中南米では、エルニーニョによって南部では雨が増える可能性がある一方、ブラジル北部などでは高温や干ばつが起きる可能性があります。

雨が増えることで農作物にとってプラスとなる地域もありますが、降水量が多すぎれば洪水や農地への被害につながることもあります。そのため、エルニーニョは単純に「世界中で干ばつを引き起こす現象」というわけではありません。

地域によって雨が増える場所もあれば、逆に極端に乾燥する場所もあり、こうした天候の変化によって、世界各地の農作物の生産が不安定になることが大きな問題なのです。

そもそもエルニーニョとは?

エルニーニョとは、太平洋の赤道付近で海面水温が通常より高くなる現象です。

海の水温が変わると、その上にある大気の流れも変化するため、その影響は太平洋周辺だけにとどまらず、世界各地の降水量や気温、風の流れにも広がっていきます。

例えば、普段は十分な雨が降る地域で降水量が減れば、農作物がうまく育たなくなる可能性があります。一方で、雨が増えすぎた地域では洪水が発生し、農地だけでなく、道路や港などの物流インフラまで被害を受けることがあります。

農業は天候の影響を非常に受けやすいため、こうした変化が複数の主要生産地で同時に起これば、世界全体の食料供給にも影響が出てきます。

もちろん、収穫量が減ったからといって、世界中の人が翌日から食べる量を減らすわけではありません。

需要が大きく変わらない中で供給量が減れば、自然と価格には上昇圧力がかかります。これが、エルニーニョが世界の食料価格にも影響すると考えられている大きな理由です。

世界の食料価格はすでに上昇

今回注目したいのは、食料価格への影響が「これから起こるかもしれない」という段階だけではなく、すでに一部のデータに表れ始めていることです。

FAOが発表した2026年7月の世界食料価格指数は131.1ポイントとなり、前月から0.6%上昇し、前年同月と比較しても1.0%高い水準となりました。

その中でも特に値動きが大きかったのが穀物で、7月の穀物価格指数は前月比3.4%上昇しています。

小麦価格はわずか1か月で5.8%上昇しており、その背景には、世界有数の穀物輸出地域である黒海周辺の物流混乱に加えて、主要な生産地域を襲った熱波による収穫への懸念があります。トウモロコシについても、アメリカの一部地域で続く高温や乾燥への懸念などから、前月比3.6%上昇しました。

また、砂糖や植物油の価格も上昇しており、現在の食料価格を押し上げている要因はエルニーニョだけではありません。

異常気象に加えて、戦争、エネルギー価格、肥料不足、物流の混乱など、複数の問題が同時に重なっているため、世界的に食料価格が上がりやすい環境になっています。

FAOのチーフエコノミストも、イランやウクライナをめぐる情勢とエルニーニョが重なることで、世界が新たな食料インフレに近づいているとの見方を示しています。

なぜ異常気象で食べ物が高くなるの?

食料価格が上がる仕組みを、小麦を例に考えてみましょう。

雨が十分に降らなかったり、極端な暑さが長期間続いたりすると、農家が収穫できる小麦の量が減る可能性があります。すると、市場に出回る小麦の量も少なくなりますが、パンやパスタを食べる人が急に減るわけではありません。

需要がほとんど変わらないまま供給だけが減れば、小麦の価格は上がりやすくなります。

さらに、食料価格に影響するのは、農作物そのものの収穫量だけではありません。

農業では、トラクターなどを動かす燃料や肥料が必要ですし、収穫された食品を運ぶためにはトラックや船を使います。食品加工や冷蔵・冷凍、パッケージなどにもエネルギーが使われているため、原油価格や電力価格が上がれば、食品を作って消費者のもとへ届けるまでのコスト全体が上昇します。

現在は中東情勢などを背景に燃料や肥料の供給にも不透明感があり、農作物を「作るためのコスト」そのものが上がる可能性もあります。

つまり今回は、エルニーニョによる収穫量の減少だけではなく、エネルギーや肥料価格の上昇まで同時に起こる可能性があることが大きなポイントです。

JPMorganは、エルニーニョだけでも世界の食料インフレ率を0.7ポイント程度押し上げる可能性があり、エネルギーや肥料などの影響まで重なった場合には、1.3〜1.5ポイント程度押し上げる可能性があると分析しています。

どんな食品が影響を受けやすい?

エルニーニョの影響は、すべての食品に同じように表れるわけではありません。

特に影響が注目されているのが、米、小麦、砂糖、コーヒー、パーム油などです。

例えば東南アジアは、世界の米やパーム油の重要な生産地域となっていますが、エルニーニョによって雨が少なくなれば、収穫量が減る可能性があります。

また、ブラジルやベトナムなどではコーヒーの生産への影響も注目されており、こうした農作物の価格が上がれば、スーパーで直接購入する商品だけでなく、さまざまな加工食品にも影響が広がります。

パンや米といった主食だけではなく、コーヒー、チョコレート、お菓子、ジュース、食用油など、私たちが普段何気なく購入している商品の価格にもつながってくる可能性があるのです。

ただし、世界の農産物価格が上がったからといって、翌日にスーパーの商品が一斉に値上がりするわけではありません。

農作物の価格変化が加工や流通を通じて実際の消費者価格に反映されるまでには時間差があり、FAOのチーフエコノミストによると、通常は3〜6か月程度かかるとされています。

そのため、2026年後半に起きている農産物やエネルギー価格の変化が、2026年末から2027年にかけてスーパーや外食の価格に現れてくる可能性もあります。

海外大学生の生活にはどう影響する?

ここまで読むと、「世界の農業が大変なのは分かったけれど、自分の留学生活とどれくらい関係があるの?」と思う方もいるかもしれません。

しかし、海外大学生にとって食費は、家賃と並んで毎月必ず発生する大きな生活費の一つです。

スーパーでの買い物が少しずつ高くなる可能性

最も分かりやすい影響は、普段スーパーで購入している食品の値段です。

パン、パスタ、米、シリアル、コーヒー、ジュース、食用油、お菓子などは、今回価格上昇が警戒されている農作物と深く関係しています。

一つの商品が数十円、数十セント上がる程度であれば、それほど大きな変化には感じないかもしれませんが、週に何度もスーパーで買い物をする学生にとっては、その小さな差が1か月、1年間と積み重なっていきます。

特に自炊を中心に生活している学生の場合、食材価格の上昇は毎月の生活費にそのまま反映されやすいため、世界の食料価格の変化が意外と身近な問題になってきます。

外食やMeal Planにも影響する可能性

影響を受けるのは、自炊をしている学生だけではありません。

大学の食堂やレストランも食材を仕入れて料理を提供しているため、食材価格や輸送費、人件費などが上がれば、そのコストが最終的にメニュー価格へ反映される可能性があります。

大学のMeal Planは年度ごとに料金が決められていることも多いため、スーパーの商品価格のようにすぐ変化するとは限りませんが、食料価格の上昇が長期化すれば、翌年度のMeal Plan料金や学食の価格設定に影響する可能性はあります。

そのため、留学先を選ぶ際には、学費や家賃だけを見るのではなく、現地で毎月どれくらい食費がかかるのかまで確認しておくことが、これまで以上に重要になりそうです。

国によって影響の大きさは変わる

もう一つ覚えておきたいのは、すべての国で同じように食品価格が上がるわけではないということです。

エルニーニョによる天候の変化だけでなく、輸入への依存度、国内の農業生産量、政府の政策などによって、実際の影響は大きく異なります。

特にアジアや中南米では、エルニーニョによる気候変化と食料価格への影響が大きくなる可能性があると指摘されています。

一方、アメリカやヨーロッパでも、小麦やコーヒー、砂糖など世界市場で取引される商品の価格が上昇すれば、その影響を完全に避けることはできません。

海外大学生の場合、単に「どこの国が物価が高いか」だけではなく、その国が食料をどの程度輸入に頼っているのかによっても、今後の価格変化の感じ方が変わってくる可能性があります。

すぐに食料価格が急騰するとは限らない

ここまで食料価格が上昇する可能性について紹介してきましたが、「スーパー・エルニーニョが来る=食料価格が必ず急騰する」と考える必要はありません。

今回の世界の食料供給には、過去の強いエルニーニョの時とは異なる部分もあります。

現在は世界の穀物在庫が比較的高い水準にあり、農業技術も以前より進歩しています。干ばつに強い品種や灌漑設備、気象データを活用した農業などが広がったことで、異常気象への対応力そのものは過去より高くなっています。

また、2026年7月のFAO食料価格指数は上昇したものの、2022年3月につけた過去最高水準と比べると、まだ18.2%低い水準にあります。

そのため、現時点で「世界的な食料危機が確実に起きる」という状況ではありません。

ただし、今回のエルニーニョは、戦争やエネルギー価格、肥料不足など複数の問題と同時に進んでいるため、今後の価格動向には注意する必要があります。

世界食糧計画(WFP)は、今回の2026〜27年のエルニーニョによって、2027年末までに新たに少なくとも4,900万人が深刻な食料不安に陥る可能性があると試算しています。

私たちがスーパーで数十セントの値上がりを感じる一方で、世界的に見れば、今回のエルニーニョはより深刻な食料問題につながる可能性もあるのです。

食費上昇に備えて学生ができること

もちろん、学生個人がエルニーニョや世界の食料価格を変えることはできません。ただ、生活費への影響を少しでも抑えるためにできることはあります。

1. 食費に少し余裕を持って予算を立てる

まず意識しておきたいのは、留学費用を計算するときに、現在の食費だけを前提にしすぎないことです。

例えば、現在毎月400ドル程度を食費として使っているのであれば、食品価格が少し上がった場合でも対応できるように、ある程度余裕を持った予算を組んでおくと安心です。

特に、家賃や保険料のように簡単には減らせない支出が多い海外生活では、食費の上昇分をあらかじめ見込んでおくことで、急な物価上昇にも対応しやすくなります。

2. スーパーやブランドを比較する

同じ食品でも、スーパーやブランドによって価格にはかなり差があります。

大学周辺のスーパーだけでなく、少し離れた大型スーパーやディスカウントストアを利用したり、学生向けの割引がないか確認したりするだけでも、毎月の食費を抑えられることがあります。

また、自炊をする場合には、値上がりした食材にこだわらず、その時期に比較的安い食材へ置き換えるのも一つの方法です。冷凍野菜や豆類、パスタなど、保存しやすい食品を活用すれば、食品を無駄にすることも減らせます。

3. 大学の食料支援制度も確認する

大学によっては、学生向けのFood Pantryや食料支援制度を用意していることがあります。

こうした制度は、生活が厳しくなった学生を一時的にサポートするためのもので、大学によっては無料の食品配布や食事券、Meal Planへの支援などを行っている場合もあります。

生活費に困った場合には、「自分には関係ない」と思わず、Student ServicesやInternational Student Officeなどで利用できる制度がないか確認してみるのがおすすめです。

まとめ

今回は、2026年に強まっているエルニーニョと、世界の食料価格への影響について紹介しました。

NOAAは、今回のエルニーニョが「非常に強い」規模まで発達する確率を81%と予測しており、世界各地ではすでに今後の農業や食料供給への警戒が強まっています。

世界の食料価格にも変化が見え始めており、FAOの世界食料価格指数は2026年7月に前月比0.6%上昇し、特に穀物価格は3.4%、小麦価格は5.8%上昇しました。

もちろん、こうした価格変化のすべてがエルニーニョだけによるものではなく、現在はウクライナや中東をめぐる情勢、原油価格、肥料の供給、異常気象など、さまざまな要因が同時に食料価格へ影響しています。

ただ、今後エルニーニョがさらに強まり、世界の主要な農業地域で収穫量への影響が広がれば、2026年末から2027年にかけて、食料価格への上昇圧力がさらに強まる可能性があります。

一見すると「海外の天気のニュース」に見えるエルニーニョですが、その影響は農業や物流を通じて、私たちがスーパーで買うパンやコーヒー、大学で食べる食事の価格までつながっています。

海外大学生にとって、食費は毎月必ずかかる生活費だからこそ、学費や家賃だけでなく、世界の食料価格や現地の物価にも少し目を向けながら、余裕を持った留学予算を考えておくことが大切になりそうです。


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参考文献

Food and Agriculture Organization of the United Nations (FAO).(2026年8月). “FAO Food Price Index.”
2026年7月の世界食料価格指数、穀物・小麦等の価格変動を参照。
https://www.fao.org/worldfoodsituation/FoodPricesIndex/en/

National Oceanic and Atmospheric Administration (NOAA), Climate Prediction Center.(2026年8月). “ENSO: Recent Evolution, Current Status and Predictions.”
エルニーニョの発生状況および「非常に強い」エルニーニョとなる確率について参照。
https://www.cpc.ncep.noaa.gov/products/analysis_monitoring/lanina/enso_evolution-status-fcsts-web.pdf

World Food Programme (WFP).(2026年8月5日). “World Food Programme ramps up preparedness and response plans as El Niño threatens to push tens of millions into acute hunger.”
2026〜27年のエルニーニョによる世界的な食料不安への影響予測を参照。
https://www.wfp.org/news/world-food-programme-ramps-preparedness-and-response-plans-el-nino-threatens-push-tens

Food and Agriculture Organization of the United Nations (FAO).(2026年6月29日). “Agricultural production risks associated with El Niño conditions and shipping disruptions linked to the Middle East conflict.”
エルニーニョによる地域別の農業生産リスク、物流・エネルギーコストへの影響を参照。
https://www.fao.org/markets-and-trade/do-not-touch/all-widgets/giews-update---agricultural-production-risks-associated-with-el-ni%C3%B1o-conditions-and-shipping-disruptions-linked-to-the-middle-east-conflict--29-june-2026/en

Reuters.(2026年8月5日). “World faces fresh food price surge, FAO warns.”
エルニーニョ、中東情勢、肥料・燃料価格の上昇と世界の食料インフレとの関係を参照。

Reuters.(2026年8月11日). “Decades of farm gains, inventories strengthen food system against ‘super’ El Niño.”
世界の穀物在庫や農業技術の進歩による食料供給への緩衝効果を参照。

Reuters.(2026年8月13日). “How will Latin America’s super El Niño affect the top food-exporting region?”
中南米におけるエルニーニョの降雨・干ばつ・農業への影響を参照。

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